紅の葬送曲


翌日。



「いつまで怒ってるんだ、お前は?」





寿永隊長は翔鷹本部の執務室のデスクで書類から顔を上げると、呆れた顔を私に向けてきた。




そう、私は怒っている。




理由は簡単。




「貴方が帰るまでです。何で昨日倒れたのに仕事に来るんですか?」




私は彼の目の前にソーサーが割れるんじゃないという勢いで、ティーカップを置いた。





寿永隊長は昨日倒れたというのに、私が出勤する前に既に来ていて、書類をチェックしていた。





「昨日、明日は休むようにと何度も念を押したのに……。だから、お母様に死に急いでるって言われるんですよ」




嫌味を込めて言うと、彼は眉をひそめながらティーカップを手に取った。




「俺は死に急いでない。良いから俺のことは放っておいて、仕事しろ」




紅茶を一口飲んで、彼はまた書類に視線を落としてしまった。





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