紅の葬送曲
「浅井、お前も見ろ。お前の父親が手紙を託した奴が分かるぞ」
寿永隊長の口ぶりを見ると、彼は薄々誰なのか気付いているのかもしれない。
一体、誰が……。
私は寿永隊長の後ろに回り込むと、パソコンを覗き込んだ。
そして、言葉を失った。
何でこの人が──。
「投函されたポスト付近の防犯カメラを調べた結果、その手紙を投函したのは交通機動隊所属の司馬琉介の可能性が高い」
「琉ちゃん……」
「やはりか……」
何で琉ちゃんが手紙を?
持っていたなら何ですぐに私に直接渡してくれなかったの?
それに、その手紙をお父さんから預かったと言うことは私の出生の秘密を──。
すると、寿永隊長はパソコンを閉じて椅子から立ち上がった。
「菖」
「はい」
彼が名前を呼ぶと、小鳥遊さんはドアの影からスッと現れた。