紅の葬送曲
この頑固者が……。
私は自分の頬がひきつるのが分かった。
「浅井ちゃん、凌は頑固だから人の言うこと聞かないよ。言うだけ無駄ー」
ドアが開いた音なんかしなかった。
それなのに、いつの間にか小鳥遊君が私の隣にいた。
「い、いつの間に……ッ!?」
私は突然現れた小鳥遊君の姿に驚き、後ずさってしまった。
「んー、今かなー?」
「……江、何か分かったか?」
寿永隊長は書類を見ながら、小鳥遊君に問いかける。
「紅斗のことは全然。でも、諜報課と佐滝さんの方は……」
小鳥遊君はニヤリと笑うと、寿永隊長のデスクにUSBを置いた。
「……早かったな。さすがだ」
書類から顔を上げてUSBを手に取った寿永隊長は満足そうに笑い、パソコンにそれを差した。