紅の葬送曲
「分かった、やってみる……」
アンジェロは声を震わせながらも明晴の命令に頷く。
彼女が頷いたのを確認した明晴は満足そうに頷くと、ドアを押し開ける。
「楊蘭、そっちの調子はどうですか?」
「明晴、アンジェロ」
室内には楊蘭と鎖で繋がれた一人の女がいる。
鎖で繋がれた女はぐったりしていて、全身傷だらけで殴られた跡や切られた跡、爪が剥がされた跡まであった。
「全然吐かぬわ。さすがは翔鷹隊長の補佐官と言ったところか……」
楊蘭は女の髪を鷲掴みにすると、顔を上げさせた。
そんな彼女の顔に、明晴は平手打ちを食らわせる。
「忌々しい顔だ……。あの小鳥遊天河にそっくりだ……」
彼女は己の神を殺した男の姪。
明晴にとって忌々しい存在でしかない。