紅の葬送曲
場所を移動して、翔鷹地下にある武道場。
「ちょっと紅斗!寿永隊長を相手にするなんて命知らずなの!?」
私は首を左右にコキコキと鳴らす紅斗に近付くと、肩をつかんだ。
「紅緒、お兄ちゃんを心配してくれるの?可愛いなー」
子供扱いして頭を撫でてくる紅斗にカチンと来て、その手を叩く。
「触るな!言っておくけど、私も紅斗のこと信用してないから!全部知ってて教えてくれないくせに!」
「……じゃあ、後で話してあげる」
「へ?」
紅斗の言葉に呆気を取られていると紅斗は着ていたパーカーを脱ぎ、琉ちゃんに渡した。
え、話してくれるって言った?
呆然としていると後ろから頭を軽く叩かれた。
「言い過ぎだぞ、紅緒」
「琉ちゃん……」
私の頭を叩いたのは琉ちゃんだった。