紅の葬送曲
「やっと見つけた……っ!」
そして、さんざん探し回って彼がいたのは翔鷹の本部の屋上に作られた屋内プールだった。
ブーツと靴下を脱ぎ、プールに足を突っ込んだ彼は息を切らした私をちらりと見るとすぐに揺れる水面に視線を移した。
「もっと見つけやすいところにいてもらえますかね?探す私の身にもなってください」
嫌味を言いながら彼に近付くと、私は彼の隣にしゃがんだ。
ゆらゆらと揺れる水面にはガラス張りの屋根から射し込む春の陽射しが反射し、キラキラと光っていた。
「……聞いてますか、寿永隊長?」
何の反応もしない彼に違和感を覚えて顔を覗き込んだ。
でも、プイッと反らされる。
え、何で?
私は今までの寿永隊長とは違う行動に呆気を取られてしまう。
「ちょっと寿永隊長?聞こえて──」
「……紅斗の話、長かったな」
ようやく口を開いた寿永隊長の声はふてくされた子供のようだった。