紅の葬送曲
「え?」
私は再び呆気を取られた。
「お前は俺の補佐官だ。何故、紅斗なんかに……」
子供のような言い方に、私はつい吹き出してしまった。
紅斗に言っていた意味が分かった。
確かに紅斗の言うとおり、彼は拗ねているようだ。
普段ならすぐ追ってくる私が追って来ず、紅斗の話を聞いていたから。
もしかしたら、見つけづらい場所にいたのもそれに対する嫌がらせだったのかもしれない。
……随分と子供らしくて、可愛い嫌がらせだ。
「何故笑う?」
私が吹き出したものだから寿永隊長は不機嫌そうな顔をする。
「いや……、寿永隊長って意外と子供っぽいところもあるんだと思って……」
込み上げてくる笑いを堪えていると、急に彼は私の手を引いた。
目の前に彼の端正な顔があって、お互いの吐息がかかるくらい距離が近い。
「年下だからって甘く見るなよ」
低いその声に顔が熱くなる。