紅の葬送曲
「奴は20年前に死んだ。叔父が……小鳥遊天河が自分の命と共にこの世から葬り去った」
叔父って……。
切碕と共に命を落とした青年って小鳥遊姉弟の叔父さんなの?
こんがらがりそうな頭をどうにか整理して、続くであろう寿永隊長の言葉に耳を傾ける。
「……らしいな。だが、これを見てくれ」
寿永隊長が知栄さんに目配せをすると、モニターが再び切り替わった。
切り替わったモニターには防犯カメラと思われる映像があり、そこには一人の青年が映っている。
その青年の顔に、胸がドクンと鳴った。
何で、この人が……。
「奴は20年前の切碕と瓜二つの容姿をしている。切碕を産み出した人体実験はもう行われていない。だとすれば、切碕が何らかの方法で生き返ったか……もしくは……」
モニターには防犯カメラに映る青年と20年前の切碕の写真が並んで映っている。
胸がざわつく。
「奴の子供と考えるのが妥当だ」
寿永隊長の言葉がやけにはっきりと聞こえる。
「な、んで……」
──モニターに映る二人はさっき会った……夢に出てきた男の子と同じ顔をしていた。
赤い両目をしていた。