また君に恋をする


「おい桃。」




苛立った声で私を呼ぶ奏多くんは、いつもの彼ではない。


怖くなった私は、咄嗟に春翔の後ろに隠れた。




「…何だよそれ。」




春翔の背中で彼の表情は見えない。


だけど、奏多くんの声には苛立ちと辛さが入り混じっている。




「公園には来ねーし電話にも出ねーし、どんなけ心配したと思ってんだよ。」




弱々しく言葉を吐く彼に、私の胸は苦しくなる。


何で?


どうして奏多君がそんなこと言うの?


好きな人がいるなら、彼女がいるなら、そっちに集中してればいいじゃん。




「桃…、「何で…?」」




春翔の後ろに隠れていた私の腕を引っ張った奏多くん。


そんな彼に、言い返すつもりはなかったのに溜まっていた言葉が溢れ出した。




「何で優しくするの…?」




ダメだ。


泣くな。

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