また君に恋をする
そんな顔をさせたいわけじゃない。
だけど、人への頼り方を知らない私は、どうしていいかわからなかった。
春翔を見ると、安心して一気に我慢していた何かが溢れ出す。
「何で俺が見た時、桃さんはいつも泣いてんすか…。」
私を優しく抱きしめながら、そう言う春翔はやけに弱々しい。
「俺にすればいいのに…、」
そっも聞こえた二言目。
それに何にも答えることなく、ただ涙を流す私は卑怯な女かな…。
「落ち着きました?」
「…うん。ごめんね。」
泣いて泣いて、たくさん泣いたあと、春翔はそのまま家まで送ってくれた。
帰り道は何も話すことなく、ただゆっくり歩いた。
「…桃、」
そして、家の近くの公園の前を通った時、見覚えのある金髪が見えた。
いつもは会いたくて仕方がないのに、今は会いたくない。
だけど案の定、彼は私に声をかけた。
久しぶりに聞いた声。
優しくて、甘い声。
「お疲れ様です。」
「何でお前らが一緒にいんだよ。」
春翔と私を交互に見て、少し顔を歪ませる奏多くん。
何で怒ってるの?
私が約束をすっぽかしたから?