また君に恋をする
…げ。
とりあえず無視だ、動揺したら終わり。
無視して芽衣と龍也の方へ歩き出した。
「…お前。」
1番近くにいた男と目が合い、その男は私の顔を見て満足そうに笑った。
「喜連の女か。」
「瀬崎の?」
「ああ、連れてけ。」
それだけ会話すると、強引に腕を引っ張られて、人混みから外れた。
ヤバい。
連れて行かれる。
「芽衣!龍也!」
腕を引っ張られながらも、少し遠ざかった2人の名前を叫んだ。
ここは屋台の音楽、流れっぱなしのアナウンス、ざわざわと人声が飛び交っている。
だけどお願い…、届いて。
そう願う私の思いは少し叶って、振り向いた芽衣。
それから龍也の肩を叩いて、振り返った龍也と奇跡的に目があった。
「助けて!」
強引に人混みを逆走する私。
必死に後ろを振り返りながら、目があった龍也に叫ぶ。