また君に恋をする
部屋を出ると、辺りはシンと静まっていた。
「春翔、ごめんね。」
「何で桃さんが謝るんすか。」
「ごめん…、」
さっき泣き止んだばかりなのに、涙はまた出てくる。
「桃さんは強いですよ。よく頑張りましたね。」
そう言って、私の頭をポンと叩いた春翔は優しく笑っていた。
2人でゆっくり歩いて、見えてきた外の明かり。
顔を上げると、入り口には喜連のみんながいた。
「桃!」
私を見つけて真っ先に名前を呼んだのは、浴衣姿の芽衣。
…これでまた芽衣の楽しみを奪ってしまった。
あんなに楽しみにしてた夏祭りなのに。
「芽衣…、」
「ごめん、ごめんね…。」
目に涙を溜めながら走ってきた芽衣は、私を抱きしめながら何度も謝る。
何にも悪くないのに。
私が悪いのに。
「私、桃の声聞こえたのに…、」
「ううん。助けに来てくれてありがとう。」
私を抱きしめながら泣く芽衣の背中を、優しく撫でた。
「無事でよかった。」
「龍也もありがとう。」