昨日の夢の続きを話そう
カップに唇を付け、コーヒーを一口啜る。
隣の上の方から、ふっと笑う声が微かに聞こえた気がしたので、私は心を落ち着かせるために窓の外を眺めた。

精一杯なんでもないって顔を作って、両手で温かいカップを持ち雨粒模様の窓を見つめる。
雨の森は木の色も空気も濃くなって、すっかり侘しい光景には人っこひとり、猫一匹いない。

あ、でも、そう言えば……。


『その辺ってもしかして、うちの前? 公園に工事車両が来てて道幅狭くなってたんじゃない?』


公園って、この自然公園のことだよね。
ここ、工事するのかな。
こんな山奥で、なんの工事だろ……?


「雨脚が強くなってきたね。リースの形を作って貝殻を付けようか」
「あ、はい」


ルカさんが飲み終わったカップを持ってキッチンに向かう。


「まだ日が暮れるには早いけど。手元がよく見えないと危ないから、ランタン点けよう」


飲み干した私も後ろに続く。
まだ明かりが必要なほど真っ暗って訳ではなかったけど、ルカさんは慣れた手つきで灯油式のランタンに火を灯した。
室内が柔らかい光に包まれた。

作業台で昼顔の枯れたツルをドーナツ形に整え、崩れないように麻紐で固定する。
水洗いして乾かした貝殻を、ちょうどいいバランスに配置していく。


「澪ちゃんが小学生のときも、こんな風に作ったの?」
「はい。ちょうどクリスマスの時期だったので、松ぼっくりとか飾って」
「へえ、いいね。僕らもクリスマス用も作ろっか」


楽しそうに弾む声で言ったルカさんは、「さっき拾ったどんぐりならあるけど……」言いながら首をぐるりと回し、背後の棚を見た。
木製のボウルには、ナナカマドの赤い実やどんぐりが盛られている。
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