昨日の夢の続きを話そう
「ま、麻衣子さん、落ち着いてください」


私たちの間に割って入った向井さんが、息を荒くする麻衣子をなだめるように、肩に手を置いた。


「いくらなんでも盗ったなんて人聞きの悪い……。私たちスタッフは、備品を預かることもありますし!」


なぜ私が青い鳥を持っているのか理解していないのに、向井さんが必死で言い訳をしてくれてる様子を、私は呆然と見つめた。


「こうしてきちんと青い鳥はここにあるんですから、落ち着きましょう!」
「……そうよね、大きな声出してごめんなさい。なんだかちょっとその私、ナーバスになってて……」


向井さんからふっと目を逸らし、麻衣子は俯いた。


「緊張しますよね、二日後ですもんね。大丈夫ですよ、麻衣子さん」


気持ちを落ち着かせるような穏やかな声で、向井さんが言う。


「ごめんね、澪。私、酷いこと言って……」
「う、ううん……」


私は力なく首を振る。
呼吸が浅くしかできなくて、息苦しかった。


「でも……もう、」


言いかけた麻衣子が、私の目をじっと見つめる。


「盗らないでね?」


麻衣子の目の奥に宿るものは、強い怒りのような、怯えのようでもあった。

言葉を飲み込むのって苦しい。
我慢して抑え込むのは疲れる。

喉が窮屈で。
息が浅くて。


泣きそうだった。





< 107 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop