昨日の夢の続きを話そう
『うん……ぴったりだね』
仁さんが彼女を追いかけて行って、母は泣き腫らした赤い目の私に、青い浴衣を着せてくれた。
全然ぴったりじゃなかった。
ダボダボだった。
現実を受け止められず、とんちんかんな作り笑顔を浮かべる母に対し、私はロボットみたいに無言だった。
下駄に爪先を引っ掛けて、自然公園に行く。
そして、青い鳥が飛んでいるのを暮れかけた空に見つける。
私は急いで追いかける。
屋台が出てる、遊歩道の脇からどんどん深く、山の方へ向かってることにも気付かずに。
くちばしに挟まれたミカンばかり見ていた。
あれは今日帰りがけに、私が餌台に置いたミカンだ。
あの鳥は、毎日和史の代わりに世話をしている、姿を見たことのない野鳥に違いない、と確信した。
待ってよ、待って。
行かないで。
私は幸せに手を伸ばした。けど、その瞬間、無情にも、斜面から転がり落ちることになる。
目が醒める。白い天井が見えた。
頬に冷たいものがあたった。
顔を覗き込んでいた母が、泣いていた。
願いはなにひとつ叶わなかった。
幸せが、遠くに行ってしまった。
あとから母が、耳から血が出ている私を見たときは、心臓が止まるかと思った、って言った。
もしももっと血が流れていたら、和史が発見してくれなかったら……。
って言っても重症ってほどじゃなくて、耳たぶをざっくりいっちゃってただけなんだけどね。
そして言葉少なに、彼女のことを教えてくれた。
仁さんが、祖母と暮らすのでそっとしておいてあげて欲しい、と言ったそうだ。
仁さんは、母と何年も入籍しなかったけど、うちで泊まり込みで働き続けた。
『お母さんから、お父さんを、盗らないであげてください』
ずっと、頭から離れない。
私が、彼女から幸せを奪った記憶が。
そんな私が、人並みの幸せを手にするなんて。
出来るはずがないのだ。
仁さんが彼女を追いかけて行って、母は泣き腫らした赤い目の私に、青い浴衣を着せてくれた。
全然ぴったりじゃなかった。
ダボダボだった。
現実を受け止められず、とんちんかんな作り笑顔を浮かべる母に対し、私はロボットみたいに無言だった。
下駄に爪先を引っ掛けて、自然公園に行く。
そして、青い鳥が飛んでいるのを暮れかけた空に見つける。
私は急いで追いかける。
屋台が出てる、遊歩道の脇からどんどん深く、山の方へ向かってることにも気付かずに。
くちばしに挟まれたミカンばかり見ていた。
あれは今日帰りがけに、私が餌台に置いたミカンだ。
あの鳥は、毎日和史の代わりに世話をしている、姿を見たことのない野鳥に違いない、と確信した。
待ってよ、待って。
行かないで。
私は幸せに手を伸ばした。けど、その瞬間、無情にも、斜面から転がり落ちることになる。
目が醒める。白い天井が見えた。
頬に冷たいものがあたった。
顔を覗き込んでいた母が、泣いていた。
願いはなにひとつ叶わなかった。
幸せが、遠くに行ってしまった。
あとから母が、耳から血が出ている私を見たときは、心臓が止まるかと思った、って言った。
もしももっと血が流れていたら、和史が発見してくれなかったら……。
って言っても重症ってほどじゃなくて、耳たぶをざっくりいっちゃってただけなんだけどね。
そして言葉少なに、彼女のことを教えてくれた。
仁さんが、祖母と暮らすのでそっとしておいてあげて欲しい、と言ったそうだ。
仁さんは、母と何年も入籍しなかったけど、うちで泊まり込みで働き続けた。
『お母さんから、お父さんを、盗らないであげてください』
ずっと、頭から離れない。
私が、彼女から幸せを奪った記憶が。
そんな私が、人並みの幸せを手にするなんて。
出来るはずがないのだ。