昨日の夢の続きを話そう
「出来上がったウエルカムボード、持って来たよ」
「えっ……、わざわざすみません。今日これから取りに伺おうと思ってたんです」


首を左右にぶるぶる振って、髪から滴る水を落としたルカさんは、にっと柔和に微笑む。


「そんな、全然! 僕が早く澪ちゃんに会いたくなって、お届けに上がったんだから」
「……っ」


私のこと、からかってる……?
こういうことに耐性のない私は、どう反応していいかわからなくなって俯いてしまう。


「あ……これですか?」


私はベンチに置いてあった、白い紙袋を指差した。


「うん、あ! それに、いいもの持って来たんだ」


ルカさんはうきうきした様子で、その紙袋のなかから平らな缶を取り出した。
蓋を開け、小さな赤いものを指先で摘むと。


「はい、あーん」


私の口元に近づける。
なんてことなく、さも当然かのように。


「え、えっ⁉︎」


びっくりした私が体を仰け反らせると、相手はきょとんとした顔で瞬きした。


「大丈夫、食べれるよ?」


真面目な顔で言って、硬直する私の手を取った。
そして手のひらに、赤いものをコロンとのせる。砕いたサイコロみたいないびつな形。


「え、あ、どうもです……」


食べれるか、って不審がった訳じゃない。
昨日の今日で、こんなに接近されて、またキスされるかも、って……。勝手に身構えた自分がすごく恥ずかしい。
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