昨日の夢の続きを話そう
「ううん、澪ちゃんのお役に立てたなら、本望だよ」
「……あの、ルカさんは、あの小屋住んでるんですか?」
「へ⁉︎ え、っと……」


私の突然の質問に、ルカさんは頭をポリポリ掻いた。


「なんて言うのかな。ま、住めないこともないんだけど、ほかにもいろいろ渡り歩いてて」
「あの、余計なお世話かもしれないですけど、うちの実家が近くで民宿やってて。もし良かったら利用してください。ウエルカムボードのせめてものお礼です、何泊でもしてってください。私、母に話しておくので。ちゃんとお風呂もありますし、料理も……」


言いかけて、私は口を閉じた。
激しく三崎の宿の回し者っぽいことを言ってしまった、と反省したからだ。

それに……。


「あ、でも、もしルカさんがいなかったら、あの黒猫にご飯あげる人いなくなっちゃいますか?」


初めて出会った日のことを思い出して、何気なく聞いた私は、ルカさんの顔がみるみるうちに引き釣っていく様子を間近で見た。


「えっ⁉︎ く、黒猫⁉︎」
「……? はい、以前小屋の近くで見ましたけど……」
「え、それ、ホント⁉︎」
「はい……てっきり私、山をうろついてる野良猫を、ルカさんがお世話してるのかなって思ってました」
「いや、そんなはずない! 僕、猫が苦手だから!」


大慌てでルカさんは言った。
その蒼白な顔色で、すごく苦手なんだなっていうのが切実に伝わった。


「じゃ、じゃあ、あのときたまたま通りかかっただけの迷い猫だったんですね、きっと。あの公園に住み着いてるとかじゃないですね!」


なんとか安心させようと、私は笑顔で必死にその場を取り繕う。
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