昨日の夢の続きを話そう




「お、すげーじゃん! 予想以上の出来だよ」


ウエルカムボードを持ち上げてじっくりと見つめた和史は、目を輝かせて言った。

夕刻のブルームーン。
店内には、私と和史以外、お客さんはいなかった。


「大変だっただろ? 悪かったな、急がせて」
「ううん……」
「麻衣子のやつ、頼んどきながら忙しくて今日受け取りに来れなくて。ごめんな?」


小さく首を振って、私はコーヒーを啜る。

結婚式を明日に控え、遠方から参列する親戚や友達を出迎えるため、麻衣子は時間が取れないそうだ。

萩間荘は満室。
スタッフ総出で跡取り息子の結婚式関連の対応に追われているんだけど、私は明日友人として、参列するとこが許可されている。

だけど、忙しいというのは、半分は口実で。
麻衣子は私の顔を見たくないのかもしれない。


「麻衣子の弟も来れることになったって」
「そっか……よかった」
「あ、結子先生も、明日来てくれるんだ。澪に会うのも楽しみにしてる」
「……私も楽しみ。結子先生と和史は、命の恩人だから」
「えっ……」


和史は一瞬、目を見開いた。

そして私の顔を見て、深刻そうに眉間に皺を寄せたかと思ったら、ウエルカムボードをテーブルの上に静かに置いた。


「……それ、ずっと言おうと思ってたんだけど」


俯いた和史は、言いづらそうに眉を潜める。


「あの日、最初に澪を見つけたのって、俺じゃないよ」
「え?」


ど……。
どういうこと?
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