昨日の夢の続きを話そう
「でもこれ、ほんとすごいな!」


暗くなった気分を変えるように、明るい声で和史が言った。

再びウエルカムボードを手にし、昼顔のリースが巻かれている細かい部分を、じっくりと眺める。


「この貝殻って本物?」
「うん……」
「女子好きだよな、こういうの。絶対麻衣子も喜ぶわ」
「……私ひとりじゃ出来なかった。手伝っくれた人がいて」
「へえ、誰? その方にもお礼をしたいな」
「えっと。こないだ和史がブルームーンの前のベンチでサボってたとき」
「気分転換、な」


片目を細め、うそぶくようにずるい笑顔で和史が突っ込む。
そんなの、どっちでも良いんだけど。


「あのとき砂浜にいた男の人だよ」
「え?」


ウエルカムボードを見ていた和史は、目をぱちくりと瞬かせ、緩慢な速度で顔を上げた。


「男なんて、いた?」


目が合う。

頬が引きつるいびつな笑顔で、私ははっと呆れたように息を吐いた。


「な、なに言ってんの? あのとき、麻衣子と萩間荘に戻るとき、振り向いてこっち見てたじゃん……」


視線が一瞬ブレたよね。
そのあとすぐに、私に話しかけて来たルカさんを見てたんじゃないの?


「見てたけど……そんな人、いたか?」


ガタリ、と大きな音を響かせて、私は椅子から立ち上がった。


「わ、私、行かなきゃ……」


急いでトートバッグのなかから財布を取り出すと、コーヒー代をテーブルの上にぞんざいに置く。
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