昨日の夢の続きを話そう
「あっ……」


それから、もうひとつ。


「これ、麻衣子に返しておいて」
「え? おい澪、突然どうしたんだ?」


戸惑う和史に青い鳥を差し出すと、私は衝動的に走り出していた。


『浴衣は?』


ねえ。

あなたは、何者?


『青いの、似合ってた』


あのとき、お祭りにいた?



「もしかして……っ」


猫が苦手で、暗さに弱くて。
水浴びと、甘いものが好き。

啄ばむようなキス。
羽織る服は必ず青。

狐につままれたんじゃない。
ルカさんの、正体は……。

あの日手が届かなかった、私の〝幸せ〟……?


「ま、まさか……」


声が掠れた。

そんなこと有り得ない、有り得ないって何度も。
自分に言い聞かせるように心のなかで繰り返す。

坂道を自転車に乗ったまま漕いで登ったのは、初めてかもしれない。
息が切れて、胸が苦しいけど足を止められなかった。

自然公園まで登り切るときにはもう、酔っ払いみたいにふらついて、太ももがぱんぱんに張ってる。
転がるように自転車を降りて、気が逸るのでうまく停められず、ほとんどその辺に投げ捨てた。

これまで無かった物の出現に、私は思わず息を飲む。
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