昨日の夢の続きを話そう
「三崎さん、さっきはヒヤッとしたわね。大丈夫だった?」
「あ、はい……」
「あ、もう三崎さんじゃないんだっけ?」
「はい、母が再婚して今は槻川です」
「そうかぁ。しばらく見ないうちに、ふたりとも立派になって」


眩しそうに目を細め、私と和史を見た結子先生の目尻に皺が刻まれる。
担任だった頃はまだ、お姉さんって感じだったけど、今は頼り甲斐があるベテラン先生って印象だった。


「それで、そのアーチだけど、」言いながら、結子先生は花嫁を見つめた。「大丈夫、直せるわ。適役がいるから」


適役?

ちょうど戻って来た、向井さんと課長の忙しない足音が周囲に響いた。


「今日はドライバーとして私に付き合ってくれたんだけど、自分もちょっとだけ萩間荘に入りたいって言って付いて来てて……」


結子先生は、首をぐるりと回して後方を見た。


「なにあなた、照れてるの? 早くこっちに来なさい」


駆けつけた課長と向井さん、それから和史と麻衣子の目が、皆一様に開かれる。

現れた人物を目の当たりにして。


「僕、手伝います」


う、そ……。

嘘でしょ?


「ル……」


ルカ。

そう、名前を呼びたいんだけど、唇が固まってしまって。動かない。
脈音が、全身に響き渡る。
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