昨日の夢の続きを話そう
「さすが、うちの甥っ子ね!」


シャンパンのグラスを片手に、嬉しそうにガーデンを眺める結子先生が教えてくれた。

ルカさんこと二戸瑠加さんは、結子先生のお兄さんの息子、つまり甥っ子さんなのだそうだ。
お父さんはイタリアで家具の輸出業をしていて、お母さんはイタリアの方だとか。

瑠加さんは、美大の卒業制作だった一枚板の彫刻が賞を受賞して、一気にその才能は美術界から注目を集め、ファンも多く、個展を開けば連日大盛況らしい。

作品の値段は破格で、注文も殺到したけれど、一枚板自体を手に入れるのが難しいらしく、なかなか思うように作業が進まない時期があったとか。

そんなときに、大工である日本のおじいさんの勧めでガーデンを設計したところ、今度はそれが注目され、没頭し、家具や空間を建物を総合的にデザインする会社を設立するまでに至ったそうだ。


「そんなすごい人に、知らず知らずのうちにウエルカムボードを作る手伝いをしてもらってたなんて……」


コース料理をいただきながら私が言うと、結子先生は訳知り顔で笑った。


「槻川さんは〝知らず知らずのうち〟だったかもしれないけど、あの子はそうじゃないんじゃない?」
「え? ど、どういうことですか?」
「ま、ここから先は本人の口から聞いて! 私が勝手にペラペラ喋ったらあの子、拗ねそうだしね。それより、萩間くんたちと写真撮りましょう!」


楽しそうに立ち上がった結子先生に腕を捕まれ、私は一緒のテーブルを囲んでた小学校の同級生たちと連れ立って新郎新婦の元に向かった。

みんなのデジカメで順番に写真を撮り、最後の一枚のシャッターを切ったあと。


「あの人、二戸瑠加さん……だっけ」


隣の麻衣子をチラチラ気にしながら、和史が私に言った。
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