昨日の夢の続きを話そう
「あの人か? ウエルカムボードを手伝ってくれた、海にいた〝男〟って」
「そうだけど……」


やっぱり、と口元を手で隠して呟いた和史は、くぐもった声で続ける。


「俺、たしかに見たわ、あの人。でも、あんまり綺麗だから、女の人だと思ったんだ」


一拍間を置いて、合点がいった私はクスクス笑いながら頷いた。


「あのさ……まだ、言ってなかったから」


言いかけると、そこでやっと麻衣子は私を見た。翳りのある目で。


「おめでとう。麻衣子、和史も」


ガゼボとは、洋風の東屋のことだった。
白樺は、今度はしっかりと固定して建て、白い布で屋根を作り、バラをたくさんあしらった。

子どもたちが飽きずに遊べるし、とても素敵な写真撮影のスポットにもなった。手際よく作業してくれた瑠加さんにしきりに感謝した和史は席を用意したいと申し出たんだけど、瑠加さんは固辞した。

ずっと、立って見てた。
晴れやかな、ガーデンの様子を。

私は偽名じゃなかったことに心底驚いたんだけど、向井さんをはじめとする女性スタッフたちは別のことに驚いていた。

あの人目を引いて止まない容姿だもの。
招待客たちも、瑠加さんのことをちら見どころかガンガン見てて、すっかり噂の的になっている。
こんなに甘いマスクの男性、見たことないって、みんな思ってるんだろうな。

でも、声をかけに行く人はいなかった。
瑠加さんには近寄りがたいオーラがある。

和史には悪いけど、今日の結婚式で女性たちの注目を一番に集めたのは、明らかに瑠加さんだったんじゃないかな。
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