昨日の夢の続きを話そう
爽やかな感動の余韻を残して披露宴が終わり、招待客たちは皆、ホテル内の二次会会場に移動する。
私はその人混みのなか、結子先生に挨拶をしてガーデンに残った。


「瑠加さん、どこ行ったんだろ……」


キョロキョロと見回すが、その姿はない。
フロントの方も探してみようと思い、振り向いたとき。


「澪」


ピンクベージュのドレスに着替えた麻衣子が、こちらに歩み寄ってきた。
顔が強張っている。


「ごめんね、澪」


目の前まで来て、麻衣子は言いづらそうに瞼を伏せた。


「私、澪が羨ましかったの。澪と和史には、割って入れない絆がある気がして」
「麻衣子……」
「澪はさ、昔からいつも、他人の顔色窺っていたよね」
「え……」
「ずっと、言いたいこと我慢してる。今だって。そうなんでしょ?」
「……」
「さっきの、おめでとうって言葉は、本心なの?」


一度下げた麻衣子の目線の先には、イーゼルに立てかけられたウエルカムボード。

和史は、特別な存在だった。
一言では言い表せない。

あの絶望のさなか、なによりも家族のような、いや、それ以上の信頼感があったし、ある時期からは異性としての恋愛感情があることに気づいた。

でも。

気持ちを伝えるなどという贅沢なこと、望んじゃいけないと思ってた。
これ以上、誰も傷つけたくないし、傷つきたくなかったから。

まるで鳥籠のなかに閉じこもるかのように、ただ見つめていた。青すぎる、周りや空を。


「……羨ましかったのは、私の方だよ」
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