昨日の夢の続きを話そう
「行き詰まったら模様替え、って、テスト前の大掃除みたいな?」
「そうそう。それに、澪ちゃんとニアミスできるかも、って期待も込めつつね」
「え?」
「結婚式でおばちゃんに付いてったら澪ちゃんに会えるかもって期待はしてたけど、その前に奇跡的に再会できるかもしれない、ってね」


ついこないだのことなのに、瑠加さんは懐かしむような和やかな口調で続ける。


「窓越しに君を見たときは、もう本当に嬉しくて、昂ぶる感情をなんとか落ち着かせることに精一杯だったよ」
「……っ」


瑠加さんの横顔が急に真剣な面差しに変化したので、私は内心ドキッとした。
不意に細められた目に、なんだか鋭さが宿っているように感じて。


「そ、そんな風には見えなかったです。瑠加さんは出会ったときからいつも大らかで、穏やかで……」
「全然僕、大らかじゃないよ」


瑠加さんは抑揚のなくぽつりと言った。


「え?」
「本当は嫌なんだよ、レストランに澪ちゃんを連れてくのも。その人、すごくカッコいいからさ。澪ちゃんに会わせたくないんだ」
「……」
「できれば澪ちゃんに見て欲しくないな……て。おーい、澪ちゃん? ね、聞いてる?」
「……」
「あ、もしかして引いた? 澪ちゃんのことになると僕、どうも余裕がなくなっちゃうみたいで」


まだ会ってもないのに嫉妬なんて……と思いながら缶の蓋を閉めようとすると、隣でハンドルを握りながら瑠加さんが、「あーん」と口を開けた。
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