昨日の夢の続きを話そう
「澪は、結婚の予定ないのか?」
「えっ、なによ突然」
「昔っからそういう話しないよな。恋愛トークとか」


……まさか、そんな話できっこない。
当の本人を前にして。


「なんか、こそばゆいしね。和史にそういうこと話すのは」
「秘密主義? 水臭いよな、澪は」


適当な私の言い訳に、和史は本気でムッとしたような声で言った。


「澪、サムシングブルーって知ってる?」
「へ?」


突然話が変わったので、素っ頓狂な声が出てしまった。


「花嫁は、式のときになにか青いものを身につけるといいっていう話」
「ああ、うん、前に向井さんから聞いたことはあるけど」


たしか、幸せになれるという四つのおまじないのうちのひとつ、だっけ……。


「麻衣子も、自分で身に付けるもの集めててさ。澪もいつか、必要になるだろ?」


一瞬、鼻の奥がツンとした。


「その青い鳥は、澪が持ってて」


笑って、ちょっと照れたような声で〝ありがとう〟って言えたらいいのに。
閉口してしまう。

こんな未練がましい私に〝いつか〟なんて、来るのかな。

そんなかなしいことを考えながら私は、複雑な心境のまま、木彫りの鳥をトートバッグのなかに仕舞った。


「そろそろ戻るかー」


和史がぐっと背伸びしながら言う。


「今日って遅番?」
「ああ、フロントの夜勤。休憩時間に式の打ち合わせも兼ねて、一緒にコーヒーでも飲もうって麻衣子に言われてたんだ。席順、最後まで揉めてて」
「だったら早く戻らないと」


こんな悠長にしている暇はない。
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