昨日の夢の続きを話そう
和史の味方をしたような言い方になったのが気に入らなかったのか、麻衣子はさっきよりも不満そうに目をすがめる。


「だったら、私に話してくれたらいいのに」


ようやく聞き取れるほどの声で呟いた麻衣子は、低い溜め息を吐いた。


「さっき萩間荘の近くで向井さんに会ったんだけど、手作り風のウエルカムボードを知り合いのハンドメイド作家が売ってるって話してきた」
「あ……」


向井さん、早速麻衣子に話したんだ……。


「澪、協力してくれるって言ってくれたのに、どういうこと?」
「え、えっと……。デザインが決まらなくて、担当の向井さんに相談を……」
「そういうのはさ、他の人じゃなくて私に相談してよ! 私の結婚式なんだから!」


麻衣子が語気を強めた。

肩がビクッとなって、私は呆然とする。


「それに、どこの誰が作ったかよくわからない既製品なんて、私はごめんだからね」
「え……、あの、」
「私は、私たちふたりの幸せを願ってくれる人に作って欲しいの!」


感情的に言って、麻衣子は潤む目を私と和史の交互に向けた。


「……わ、わかった……」


ほかに言葉が見つからなかった。

立ち尽くす私を残し、和史と麻衣子は連れ立って萩間荘に戻ってゆく。
その後ろ姿を見て、私はうな垂れるようにしゃがみこむ。

振り向いた和史は、私をじっと見つめ、それから少し遠くを注視していた。
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