昨日の夢の続きを話そう
「澪ちゃん、貝殻探してたの?」
「えっ……と、」
「僕も手伝うよ」


神出鬼没な相手は隣にしゃがみ込んだ。
薄暗い砂浜で、手探りで貝殻を探し始める。


「あの、私……貝殻を探してるわけじゃ……」


控えめなトーンで言うと、男性は振り向いて立ち上がった。


「さっきの話、聞こえちゃったんだけど」


綺麗な形の巻貝を手のひらにのせ、ぱちくりと瞬きをする私の前に差し出した。


「え? な、なにを」
「ウエルカムボードを、澪ちゃんが手作りするとかっていう話」
「……」


私はその巻貝をぼんやりと見つめた。
男性は再び屈むと、私の目の前に膝をつく。


「結婚式のだよね? 僕で良かったら手伝おうか?」
「え……?」


口を半開きにしたまま、真正面から男性と目が合った。


「僕、昔からけっこう物作りが得意で。ナチュラルな素材を使って割と手際よく作れると思う。それだけが自慢っていうか」


いやいやいや、自慢できるとこはもっと他にもたくさんあると思うんだけど……。

って大真面目に思ったんだけど、男性は謙遜とかじゃなく、本気でそう思ってるような屈託のなさで、自分の容姿がこんなにも目を見張るほど美しいという件に関しては、まるで無頓着なようだった。

これほど綺麗なのに、まったくもっててらいがないと言うか。
そこがすごく、今このタイミングで変なんだけど、なんか可笑しかった。


「一緒に作ろうよ、澪ちゃん」


少しだけ。
ほんの申し訳程度に笑った私に、相手も微笑み返す。

着ているとても柔らかそうな風合いの、淡い青のシャツの色が、滲んで見えた。
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