昨日の夢の続きを話そう



翌日。


「本当に来てしまった……。」


明日の午後、小屋で待ってるね__海辺での別れ際、男性はそう言った。
穏やかに笑顔を浮かべながら。


『僕で良かったら手伝おうか?』


ほんとかなぁ、キツネにつままれたってな顛末になりうるんじゃないかなぁ、と訝りながらも、藁にもすがる思いで私は、自然公園の一角にある古汚い小屋の前に立っている。


『一緒に作ろうよ、澪ちゃん』


不思議な人だ。

小屋を覗いてたことを咎めもしなかったし、ほとんど面識のない私のお手伝いをしてくれるなんて。

どうしてだろ。
どうして気にかけてくれるんだろ……。


「あ、おーい。澪ちゃん!」


立ち尽くしていた私は、ハッとして声のする方を見た。


「あっ、こ、こんにちは!」
「こんにちは」


にこにこ顔の男性が、手を振りながら近づいている。木製のボウルを片手で抱えて。


「どんぐり?」


目の前にやって来た相手に、私はボウルのなかを覗き込みながら聞いた。


「うん。拾ってきた」


あどけない表情で、嬉しそうに言った男性は、なかのひとつを摘んで私に見せた。


「可愛い。帽子かぶってるんですね」
「コナラだよ」
「へえ、お詳しいです」
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