昨日の夢の続きを話そう
指が長くて綺麗。
骨っぽい手の甲、カーディガンを捲った腕に、筋肉の筋が浮かぶ。

真剣な眼差し。
私とぱちんと目が合ったときだけ、穏やかにそっと目を細める。


「……っ」


これじゃあ、見惚れてた、ってバレバレだ。
恥ずかしい。

けど、私は照れながらも、作業に没頭しているところも素に戻るとこも魅力的だなぁ、と思った。


「綺麗……」


塗り直したボードを見て私は、ほうっと息を吐いた。


「ありがとうございます」
「いえいえ」


ルカさんは謙遜するように首を振って、塗り終わったボードを窓際に立て掛ける。

そして今度は指示された通りに、レースの布にチャコペンで弧を描くように印を付け、裁ちバサミでカットしてゆく。

レースは、棚の一番下のバスケットに入っていた、たくさんの端布のなかから選んだ。

さっき気づいたんだけど、手元に神経を集中させていると、頭がまっさらになって、余計なことを考えずに済む。

隣に立つルカさんに、私は思わず口走る。


「楽しいですね! こういうの。なんかすごく、ハマりそうです」


笑顔でルカさんの反応を窺うと。


「あ、の……?」


彼は、こちらを真顔で見つめ返していた。


「……私、もしかして切り方、間違ってますか?」


気になって、恐る恐る尋ねると。


「あ、ごめん。可愛いなって思って、ついボーッとしちゃった」
「え!」


その瞬間、私の手元の裁ちバサミがジョキッと大きく音を立てたので、私はハッとした。
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