キングの餌食になりまして。
支配人がポケットからタバコを取り出すと、火をつけ吸い始めた。
「奏が気の毒だよ。こんな女に本気で惚れて」
(京極さんが……あたしを、本気で好き……?)
「そんな……嘘だ」
それが真実なら矛盾してる。
京極さんはあたしを『どこでも拾えるイシコロ』だとか言って散々罵った。気持ちのある相手にあんな酷い言い方をするだろうか。
「だからどうしてもお前の心を俺に向けさせお前から奏を遠ざけるよう仕向けた――と、ここまで言わないと理解できないなんて。本当にマヌケなやつだ」
そんな話、信じがたい。
「俺が憎いか?」
愛してもないのに愛してると言ってきて。
平気で嘘をついた男。
危うく一線を超えるところだった。
これが『事後』でなかったのが、せめてもの救い……。
「……いえ。支配人が、困ってるあたしを拾ってくれた恩人には変わりないですから」
「恩人? はは」
大きく口をあけ歪んで笑う。
「なにが可笑しいんですか……!」
「愚かだと思ってな。正直にいうと俺はお前のような小娘、たとえ仕事でも関わりたくはない」
――!!
「だったら、どうして……あたしを雇ったんですか」
他に応募者いたのに取り得のないあたしを選んだんですか。
支配人はあたしのこと、助けてくれましたよね。
その心遣いまでも嘘だったなんて思いたくない。
「そんなの俺が聞きたいよ」
「……え……」
「お前みたいな女、どうして雇ったんだろうな?」