キングの餌食になりまして。
「きっかけは、律が新しく入れる従業員を選んでたところに、たまたま俺が居合わせことだった」
「たまたま……?」
「ああ。誰を雇うかは律に一任しているから。不採用になった履歴書の中に、ひときわ目立つ子がいてね」
「それって……まさか……」
「そう。君さ」
偶然その場に京極さんが居なければ、あたしの存在を知ってもらえもしなかったということになる。
運命って、本当に、あるのかも……。
だけどあの履歴書のどこに採用の決め手があったのかな。大学中退というマイナス要素。特記事項もない。
自分でいうのも虚しいが、あれはごくごく平凡な……。平凡以下の履歴書かもしれないのに。
「そんなに目立ってたんですか? もしかして、どこかおかしかったですか……」
「いいや、もちろんいい意味で目をひかれた。まず、字がとても綺麗で、全体的に丁寧に書かれていた」
たしかに時間をかけて書いた。できるだけ相手が読みやすいようにと。そんなところ、見てもらえたのか。
「それから、志望動機が『家庭の事情で金銭的に困っているため』とあったから、そう簡単には辞めずに続くと思った。せっかく雇うんだ。すぐに辞める人材より長く続く人が欲しい」