キングの餌食になりまして。



「あの……もしよければ。これからもここで働かせていただけないでしょうか?」

「え?」

「仕事は覚えました。なにより、このホテルが好きです。また一から頑張る気持ちで始めたいです」


 すると、京極さんの顔が曇った。

 出過ぎたことを言ってしまっただろうか。


「ダメだよ、実知留ちゃん」

「そう……ですか」


 それなら新しい仕事を探そう。はやく自立した女性にならなきゃ。今のあたしでは子供すぎるから。

 あなたの隣に、胸を張って並べるような大人の女性になりたい――。


「あのさ。俺……」

「?」


 京極さんが、真面目な顔つきになる。

 な……なんだろう。


「明日、アメリカに行く」


 いつその話をしてくるのかなって、ずっと頭の片隅で思ってた。

 全然しないから支配人の嘘かも、なんて考えもよぎらなくはなかった。

 だけど、やっぱり、本当の話だったんだ……。


「……はい」

「驚かないの?」

「驚きました。支配人から聞いたときは……。しばらく帰ってこないんですか? アメリカの、どこですか?」


 すると、目を見開き、なにも答えない京極さん。

 どうしよう。話を切り出してすぐ聞き返したから困らせてしまったのかも。

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