キングの餌食になりまして。
ちょっと……いや、かなり捻くれてる気もするけれど。
考えなしに『全額返済』なんてとんでもないことを言ってきたわけじゃなかったことに少し安心する。無駄遣いが好きな金持ちというイメージは吹き飛んだ。
相手は選ぶってことか。その選び方が腹黒い。
「生憎、寄生虫女のATMになる趣味はないのでね」
やっぱりこの人、悪魔なんじゃ……?
「それはそうと。うちのサイトを見て気に入ったところを細かに書き出していたりで、記入欄がびっしり埋められていたのは好印象だった。『どこでもいいので働きたい!』の一言だけよりずっと感じいいだろ?」
「たしかに」
ついさっき『寄生虫女』なんて毒を吐いていたとは思えない切り替えのはやさに、驚く。
「あとは、大学を辞める選択をしてまで働くことを決めた君を助けてあげたくなった」
最後の理由は――京極さんの情けだ。
悪魔なんかじゃない。
正真正銘、この人は、優しいっ……。
「ありがとう……ございました」
「うちとしては、真面目な子に一生懸命働いてもらえたらメリットしかないから」
「あなたは、あたしの恩人です」
――京極さんは、あたしに希望をくれた。
父が事業に失敗し。大学を辞め。受けた面接は立て続けに不採用になり、途方に暮れていた。
そんなあたしを助けてくれた。