キングの餌食になりまして。



 あたしがどうしたいか?

 そんなの、ひとつ。


【あなたの傍にいたい……。】


 でも……そんなワガママ、言えない。

 京極さんは、あたしの20歳の誕生日を祝ってくれる約束をしてくれた。

 だから信じなきゃ。笑顔で送り出さなきゃ。


「京極さんが新境地で頑張るなら、あたしも心機一転、頑張ります」

「……実知留ちゃん」


――とても低い声。


「京極さん?」


 なんだか様子がおかしい。

 また、表情がくもった――。


「君は……ホンモノのバカなの?」

「バカとはなんですかっ……! せっかく人がやる気になってるのに、」

「ならなくていい」

「え?」

「もう……紳士振る舞うのやめる」


――!?


「君は本当に俺をイラつかせる天才だね」


 腕を引かれ、ベッドルームに連れて来られると大きなベッドに突き飛ばされた。

 突然のことでビックリしたけど転んだ先はふかふかのベッドなので痛いとかはない。


「な、なにす……」

「“ここでまた働きたい”だって?」


 ベッド脇に佇む京極さんが、静かにつぶやいた。


「俺と離れる気なんだ?」

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