キングの餌食になりまして。



 違う……。
 離れたいから残ることを決めたわけじゃない。


「律の部下に戻りたくなった?」


 そんなこと願ってない。


「あたしは、ただ――」

「君が身を粉にして働く理由なんてもうない」

「なに言って……」

「君の父上の借金なら、俺がもう返した」

「そうなんですか……?」

「君の父上、いい人だね。だけどあまり実業家には向いてない」

「父に、会ったんですか」

「ああ」

「お金は、きちんとお支払いします。少しずつにはなりますが必ず……」

「そういうの、いいから」

「は……?」

「俺の財産は君の財産でもあるでしょ」


(それっ……て……)


「君は、俺の婚約者(フィアンセ)だ」


 ベッドに歩み寄り、のしかかってくると――強引にキスをしてくる。

 京極さんの重みで大きなベッドがきしむ。


「もしかして、酔ってますか」

「少しね」


 どんどん濃厚になるキス。

 さっきは『ゆっくりでいいよ』なんて言っていたのに、そんな言葉なかったみたいに一方的だ。


 キスだけじゃない。

 大きな手が――身体を貪る。


「待って……ください」

「待たない」

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