溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
突然ポロポロと泣き出した私を見て、ルイは驚き、少し躊躇いながら、私の頬に優しく触れた。

「…美々」
「…」

「…泣かないで、美々」
「…ムリ、です」

「…私がいなくて、寂しかった?」
「…」

突き放したのは自分なのに、素直に答えられるわけがなかった。私は口を閉ざす。

「…私は美々に会えなくて、寂しかったよ」
「…」

「…会いたくて、抱き締めたくて」
「…私は」

…私だって…ルイが。

涙目でルイの顔を見た。

ルイは優しく微笑んで、私を抱き寄せると、私の頭にそっと口付けた。

「…美々、私は美々を愛してる。誰よりも、君が大事だよ。離れていて、それをより強く感じた」

「…」

「…美々は、私の事をどう思ってる?」
「…私は」

抱き締められたまま、答えに躊躇っていた。

「…好き?嫌い?」
「…好き」

私の答えに嬉しそうな顔を見せたルイだったが、次の言葉でその顔が消える。

「…でも、怖い…ルイさんの傍にいるのは」

「…美々」


ルイは、私の頬に触れた。

「…美々の怖さや不安を全て私が背負うよ。美々は、私のとなりにいてくれたら、なんの不安も抱えず、私に笑顔を見せてくれたらいい」

「…ルイさん」

「…ルイに、美々を支えることなんて出来ないよ」

私達のすぐ後ろからそんな言葉が聞こえた。
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