溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
「…ルカ、どうしてお前がここに?」

仕事のため、日本に一時帰国していたルカだったが、また、とんぼ返りでフランスに帰っていたはずのルカ。

それがなぜ、今ここにいるのか?

「…美々を、フランスに連れていこうと思って来た」

唐突なルカの言葉に、私もルイも、ただただ驚く。

「…突然何を言い出すんですか、ルカさん」
「…突然じゃないよ。美々がパティシエになったと聞いてから、ずっと、こっちで、腕に磨きをかけれるようにと思って、有名なパティシエに声をかけてたんだ」

そう言うと、ルカは、私に書類の入った茶封筒を手渡す。

封筒には、フランスでも有名な洋菓子専門店の名前が。

「…これは」
「…日本に来日する機会があって、RoseJardinに客として来てるんだよ。ここのパティシエが。美々の作品を大層気に入って、是非うちの店で働いてほしいって」

私は困惑し、ルイに目をやった。

パティシエなら、この店のことはよく知ってる。憧れさえある有名店だ。

だが、突然こんなことを言われても、返答に困る。

「…ルカ、お前、どこで美々と知り合った?どうして美々に近づいた?」

ルイの言葉は最もだった。

子供の頃、あの家にいたのはルイで。

それなのに、ルカが私のことを知ってるなんて。おかしい。
< 29 / 72 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop