溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
5.「…貴女は私のモノですよね」
…その夜は、それ以上の事は何もなく、ルイが送ると言い張ったが、私は、どうしても自転車で帰ると意地を張り、結局折れたのはルイ。

夢に向かって、ただただ突き進んできた私は、こんな時、どうすればいいのか、本当にわからない。

家に帰りついた私は、鞄を放り投げ、力尽きたように、ソファーに座り込んだ。

…思い出されるキスの記憶。

頬に、唇に、自分で触ってまた赤面する。

叫びそうになりつつも、アパートの壁は薄いため、心の中で叫んで、足をばたつかせた。

そんなときだった。

突然の着信に驚き、体をビクッとさせながらも、何とかそれにでる。

「…もしもし?」
「…美々、もう家に着いた?」

その声は、ついさっきまで一緒にいたルイ。

「…ど、どうしたんですか?」

シドロモドロになりつつ問いかけると、電話の向こうでわらいごえ。

私はもう!と、怒ってみる。

「…さっき、色々ありすぎて言いそびれたんだけど、一ヶ月ほど、海外に出張にいくから、その間は会えないんだ」

一ヶ月も。さっきまでのハイテンションは、一気に冷めていくのが自分でもわかった。

「…そうなんですか。…頑張って下さいね」
「…寂しくない?」

寂しくないといえば嘘になる。でも、本音なんて、言えるわけがない。

ルイは、仕事で行くのだから。
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