溺愛プリンス~秘密のフィアンセ~
それからしばらく考えて、それでも考えがまとまらなくて。

その日も仕事を終え、帰ってくると、ソファーに座って、スマホを取り出した。

ルイからは、相変わらず連絡はない。

私は、液晶に、ルイの携帯番号を表示させて、大きく深呼吸した。

…繋がらなかったら。

一回、二回、三回…

五回目のコールでも、ルイは、出ない。

私はそれを切ろうとした。

「…もしもし、美々?」
「…」

繋がらないと思っていたのに、ルイがそれにでた。

「…美々?」
「…こんな時間にごめんなさい」

「…いや、私も連絡すらできなくて、悪かった」
「…ルイさん」

「…ん?」
「…私に、嘘でも良いから言って欲しい言葉があるんです」

「…何?」
「…いつか、私と結婚するって言ってください」

泣きそうだった。

でも、今は、その言葉が欲しかった。

嘘でも良いから…

「…美々」
「…」

電話越しに、ルイのため息が聞こえた。

「…私は美々に嘘なんてつけないよ。私は「…冗談ですよ!疲れているのにごめんなさい。ルイさんにもう、迷惑はかけないから」

「…美々?!」

私はルイをふりきって、スマホを切った。

…ルイの言葉を聞いて、それ以上聞けなかった。

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