溺愛プリンス～秘密のフィアンセ～
…その頃、電話を切られたルイは、私に何度も電話をかけ直していた。

何度鳴らしても、私がそれに出ることはなかった。

ルイは、スマホをデスクの上において、大きなため息をついた。

「…もうすぐ全てに形が着くのに…」

澤田汐音の会社の名前は残したまま、吸収合併する事が決まった契約書。

互いのサインがなされたら、大々的に発表し、その時に、加熱報道されてる澤田汐音との結婚を否定する手はずができていた。

やっと、堂々と、美々に会えると思っていた。

デスクの引き出しから取り出したのは、婚約指輪。

正式に、美々にプロポーズする気持ちも固まっていた。

そんな矢先に、私から言われた言葉。

『嘘でも良いから』

なんて、嘘で、プロポーズなんて出来るわけがなかった。

なぜ、そんな事を言い出したのか？ルイには、わからなかった。

…分からないまま、全てを実行し、私のアパートに来たルイは、鍵のかかっていない私の部屋のドアを開けて、愕然とした。

…中は、もぬけの殻。

何かの間違いだと思い、レストランに急いだ。

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