素敵な王子様の育てかた。
ずいっと私の顔の近くへ、自身の顔を近づけ、再度王子は聞いた。
吐息がかかるほどの距離に、私の心臓は一気に動きを早めた。
ちょ、ちょっと近い!
いきなりその距離は反則!!
「へ、変だなんて!そんなこと滅相もございませんっ!!」
視線を交わらせることができず、逸らしながら答える。
「そうか」
王子は安心したように言うと、その距離はすぐに離れた。
けれど心臓のドクドクが治まらない。
唐突な行動は止めて欲しい。
ただでさえ、変わった王子の姿に嬉しい反面、接し方に戸惑う自分がいるのだから。
「でっ、では王子、私は野暮用を済ませて参ります!髪を切ったりなどこれまでにないことで、王子もお疲れでしょうし、お部屋でお休み下さいませっ!」
私自身も落ち着く時間が欲しいと、王子にそう告げる。
「そうだね。ララの言う通り、少し休むよ」
王子は素直にそれに応じてくれた。
「では、私はこれでっ!」
「ああ。ありがとう、ララ」
部屋を出ようとした際、王子は私に感謝の言葉を述べ、そして笑みを浮かべた。
優し気な美しい微笑みに、私の心は妙にかき乱された。