素敵な王子様の育てかた。
こうして、お茶会は和やかに終わった……かに見えたのだが。

王子と部屋に一旦戻り、私は片付けをするためにひとり部屋から出ようとしたところで、王子に呼び止められた。

「ララはとても嬉しそうだったね」

その後に続けられた、この台詞。
いったいなんのことかと、キョトンとしてしまう。

「……え?」

私の中の疑問が、そのまま口から出てしまった。
王子はソファーに腰掛け、私を感情のない瞳で見つめている。

その瞳の冷たさに、ぞくりと背筋が粟立った。


「リフィトに褒められて、顔を赤くして。リフィトは小さい頃から、大人を喜ぶことを素直に言える子だったからな。俺にはない才能を持っていて、本当に羨ましく思うよ。いつだってそうだ、アイツは俺よりも優れていて、それを見せつけられるたびに、俺はやるせない思いばかりしていた」

「あの……?」

「もしかして、ララもまんざらでもなかったのかな?あれだけの魅力的な男だ、誰だって――」

「あのっ!!」


王子の言葉を遮って、私は叫ぶように言った。
突然の大きな声に、王子は身体を少し跳ねらせハッとした表情を浮かべる。

「なにを仰りたいのか、私にはまったくわからないのですがっ!」

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