素敵な王子様の育てかた。


……ええっと、それはつまり。

王子には王妃様の決めた婚約者など存在せず、結局は私たちのこの行動にも怒っていない?

それどころかとっくに私たちをくっつけるために、こんな手間のかかる芝居を打ったってこと?


「……王妃様。失礼ですが王妃様は、私が王子と結婚することに反対は……」

「するわけないじゃない。むしろあなたじゃなきゃライトの妻は務まらないと、これまでのあなたたちを見て確信したわ。だから、お互い同じ思いでいてくれて、本当に良かったと思ってる。いくら王族とはいえ、でも結婚するならお互い好き合って、盛り上がるほうが楽しいし……」

「だからって、こんな大掛かりにしなくても……」

「いえ、現実に起こりそうだからこそ燃え上がるのよ!現に、色んな障害があったことで相手に対する思いが大きくなっていったでしょう?邪魔が入るほど、絆は深くなる。これぞ、恋愛小説の鉄板よね!」


王妃様はふんぞり返って、そう言い切った。


……ああ、そうだったわ。

王妃様は、恋愛小説作家だった。
ドキドキハラハラするような、面白い作品をいくつも手がける人気のお方。

そりゃあ、このくらいの台本を書くことくらい、容易いわよね……。

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