素敵な王子様の育てかた。
――と、突然張り詰めていた空気が和らいだ。
そのきっかけはリフィト王子の噴き出す声である。
だが私の心臓は驚いたのか大きく跳ね、少し身構えた。
もしかしたら、私の告白をただの戯言だと馬鹿にした笑いなのでは?と思ったからである。
しかし先ほどの厳しい表情とは一転、国王様と王妃様はとても穏やかな表情で私たちを見つめていた。
もちろん、リフィト王子も私たちを嘲笑うようなものではなかった。
いきなりの変わりように、私たちは呆気に取られる。
「……だ、そうですよ。兄さんもやるときはやりますね。これは上手くいったんじゃないかな?」
と、リフィト王子は国王夫妻にそう告げた。
……え?
上手くいった、とは?
困惑する私をよそに、王妃様はゆっくりと私の目の前に立つと、私の手を握った。
白く透き通るような細い手。
けれど、とても温かい。
その温かさが、それまでの緊張を解いていく。
「ララ、今まで騙していてごめんなさいね。実はライトの婚約者候補がここに来ているという話、これは真っ赤な嘘なの」
「は……?」
嘘って、どういう……?
「今回のことはお互いの気持ちを分かり合うための大きな嘘。だって、あなたたちお互いに惹かれあっているのに、なかなかくっつこうとしないんだもの。もう私我慢できなくなってしまって、それでちょっとした一芝居を、ね」
そして王妃様は下をペロッと出し、繰り返し謝罪の言葉を口にした。
そこまで言われても、当の自分は頭の中が混乱していて、上手く整理ができなかった。