素敵な王子様の育てかた。
王子は椅子を離れ、私の目の前へ立った。

そして顔を隠していた前髪を左手で後ろに流す。

すると漆黒の瞳が露わになった。


「どう転がるか分からないが、努力してみることにする。俺にここまで食らいついてきたのはララだけだから。君の言葉を信じて、勇気を出してみようと思う。……手伝ってくれるかい?」


王子は私の目を見て、そう告げた。

ちゃんと、人の目を見て話せるじゃない!

と、その時は思ったが、王子の瞳の美しさに思わず見惚れてしまう。


……なんて綺麗なの。

身なりをしっかりとすれば、周りが驚くくらい、威厳のある王子になれるはず。

それに周りの反応が変われば、王子自身の気持ちも自然と変わるはずよ。


なれる、きっとなれるわ!

誰しもが膝まづいて、その存在に敬礼するような、素晴らしい王子様に……!





そう確信した私は、自信を持って王子に答えた。



「ではこのララにお任せ下さいませ!私が王子を理想の王子様にしてあげますわ!」
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