王子様とハナコさんと鼓星
第5話 The flowers are still in bud.


***


翌日、いつも通り1日の業務を終えるなり、着替えて化粧をやり直してから約束通り裏玄関に向かった。


その時、既に社長は車の中で待っていて私を見つけるなりわざわざ車から降りてドアを開けてくれる。


周りを気にしながら車に乗り込み、車を走らせて約30分。途中で手持ち用に社長のご両親が好きだと言うワインを購入し、無事にご実家に到着。


やはりと言うべきか、とても広いお屋敷に驚いてしまった。

広い庭は勿論のこと、噴水やアーケードまである。家自体は今風なモダンな造り。誰もがここに住みたいと思うような素敵な家だった。



「さぁ、たくさん食べてね」

「は、はい。ありがとうございます」


社長に促され家の中に入ると、最初に出迎えてくれたのはお手伝いさんだと言う寧々さん。65歳でかれこれ30年以上桐生家でお手伝いとして働いているらしい。


寧々さんにリビングルームに案内されると、大きなダイニングテーブルには桐生グループの会長である桐生銀治郎に奥様の美和子さんが既に腰を下ろしていた。


手持ちを渡して、4人でテーブルに腰を下ろす。


お互い名前を名乗る軽い挨拶を交わした後、ワインで乾杯をした。


すると、美和子さんはニコリと笑みを浮かべ並べられた料理を指しそう言った。
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