王子様とハナコさんと鼓星

***

翌朝、昨日の名誉挽回をする為に目覚ましを3回もかけ6時に起床。身なりを整え、軽く化粧を施してから朝ごはんの準備に取り掛かった。


和食が好きだと言う凛太朗さんのために、焼き鮭とだし巻き卵にひじき炒め。あとは野菜たくさんの味噌汁にご飯。


すこしボリュームがあり過ぎかもしれないと思いながらも支度をしていると、部屋のドアが開き凛太朗さんが起きて来た。



「あ、おはようございます」

「ん。おはよう…顔洗ってくるね」


少し寝ぼけているのか、目元を擦りながらフラフラとリビングを出て行く。その背中を見ると後頭部の髪の毛があちこちに跳ねていた。


(あ…髪の毛が…)


初めて目にした寝癖。凛太朗さんって、いつもきちんとした身なりをしているから…寝癖とか意外かも。


それにしても大きな背中だな。


準備をしていた手が止まり、昨日の事を思い出す。お風呂から上がってからは凛太朗さんは私に指一本も触れなかった。


2人で並んでテレビを見てお茶を飲む。23時を少し過ぎた頃に各自の部屋で眠った。


昨日の提案、1日に一回は抱き締め合うなんて…本気で言ったのかな。だとしたら今日も?



(って…そんな事を考えている場合じゃない。ご飯の準備をしないと)

完成した料理を盛り付けご飯と味噌汁も器に盛りテーブルに並べると、タオルを片手に凛太朗さんが戻って来た。
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