王子様とハナコさんと鼓星


「はぁっ…眠いかも」

「コーヒーでも淹れましょうか?」

「うん。お願い」

「はい」

(寝癖がなおってる。髪の毛もいつも通りだ)


「凄い。美味しそう」

「昨日の朝のリベンジです。ちょっと量が多かったかもしれません」


「全然大丈夫だよ。1人だから食べなかっただけで、実家では朝は大きくなるようにって沢山食べてたからさ」


「それなら良かったです。ブラックですか?」

「うん。あ、そうだ、昨日言い忘れてた事なんだけど…来月の初めに1週間パリに行ってくるね」


「え?あ、そうなんですか」

コーヒーをお湯で温めたマグカップにいれ、テーブルに置き椅子に2人で座る。


「うん。会議とかパーティーとか新メニューの試食会にホテルスタッフの雰囲気を見に行ってくる。あとホテルウェディングにもっと力を入れたくてその勉強とか色々と」


「わかりました。大変ですね」

「まぁ、大変かも。でも桐生グループをもっと大きくしたい。父さんの跡を継ぐためにもまだまだ学ぶ事が沢山だよ。あとは結婚したって報告とか。本当は華子も連れて行きたいけど、それは華子が退職してから。パスポートある?」


そう言いながら、コーヒーを一口飲む。
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