王子様とハナコさんと鼓星


「なるほど」

「えっと、なにか複雑な理由があるんですか?」

(普通に考えたら、桐生グループを継ぐためとかだよね…)


「それは華子様から聞いてみて下さい」


「は、はい。あ、そうだ。その様はなんか慣れないので、普通に呼んでくれませんか?それに私の方が年下ですから」

「では、華子さんでいいですか?」

「はい。あ、これも」

鮭の切り身と豆腐をカートの中に置く。


「あと、学生時代もあんな性格でしたか?」


学生の頃から、私に接するみたいにスマートで王子様なんて言われていたのかな。


「学内で有名でしたよ。御曹司ってだけでも名は知られていました。それで、あの容姿に誰にでも同じ態度で接するので、人脈は広かったです。女性には大変人気でした。って、すみません。こんな話は嫌ですよね」


女性の話を口にした事が悪いと思ったのか、気まずそうに私を見つめ、謝って来た。

「全然大丈夫です。凛太朗さんが女性にモテるのは何となく分かっています。素敵な人ですから。だから、本当になんで私なのかなって」


凛太朗さんは、自分の夢に共感してくれたのが嬉しかったからって言っていたけど…

それだけで、あんな人が結婚を決めるなんて。結婚して、向き合う覚悟を決めてもその理由は本当に分からない。


共感の話が本当なのかもしれないけど、確信が欲しいって思ってしまう。
< 198 / 325 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop